50年前の日本 以下の記事は2007年に執筆したものです。そのつもりでお読みください。
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今から50年前というと、1957年。ちょうど日本が高度経済成長を始めた頃だ。私はまだ6歳だった。ほとんど何も覚えていない。ただはっきり覚えているのは、家には電気製品と呼べるものがほとんどなかったことだ。 テレビも冷蔵庫も洗濯機もなかった。ご飯はへっついさんと呼ばれるカマドでお袋が朝早くおきて
、薪で炊いていた。風呂も薪で沸かした。ガスもなく、燃料は近くの製材所から材木の切れ端を買ってきて、それを斧で割って使った。扇風機も掃除機もない。ウチワで涼をとり、ほうきで掃除をし、夜は窓を開けて蚊帳をつって寝た。肉製品などほとんど口にしたことがな
かった。 テレビ、冷蔵庫、洗濯機が三種の神器ともてはやされ、少しずつ普及し始めた。1960年代後半には、カラーテレビ
、車、クーラー(新三種の神器)持つ家も増え始めた。それからの変化はあっという間だった。 ひもじい思いなどしたこともなく、女の子などはいかにたくさん食べてやせるかが最大の関心事だ。豊かなことはいいことには違いない。でも、豊かであることを当然と思って育った高校生は、豊かさのありがたみがどこまで分かっているのか。 聖書に「貧しいものは幸いである」とある。われわれの世代は貧乏を経験しているから、豊かさのありがたみがしみじみ実感できる。その意味では貧乏な時代を体験できてよかったのかも知れない。もちろん、もう2度とあの時代に戻りたいとは思わないが。
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